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附小実力テストの記述問題対策 文の書き方 その2

附小実力テストの記述問題対策 文の書き方 その2

附小実力テストの記述問題対策 文の書き方 その2

2021/08/23

前回の続きです。今年(令和3年度)の第1回実力テストの問題から。

これは資料集に出ている図で、実力テストでは大問4で「資料3」として使われていました。

 

 

大問4の(3)は、この図と、もう一つ、紹介の順番が逆になりますが、「資料1」として、次の地図(を加工したもの)を使って解答させる形式。

 

図2-23

 

大問4には「アトム」と「ウラン」が会話する形式のリード文があるのですが、(3)では資料1と資料3の二つをもとに、

 

アトム:資料3は日本の川と世界の川を比較したグラフだね。

     資料3と資料1からは、日本は( ア )ということが読み取れる。

 

というアトムのセリフの、( ア )の部分に入る文章を書かせました。

この、大陸の河川と比較した日本の河川の特徴を、日本列島の特徴と関わらせて記述させる問題はテストではよく出題されます。
附小では、実力テストに限らず、5年生の定期テストでも、ほぼ毎年のように出題されています。
附小のテストだけではなく、中学入試でも、入試問題や各種模擬試験の定番といえるほど。
いや、高校入試でも、公立高校の入試問題を中心に、同じような問題を結構見かけます。
附属高校など、一部の難関校を除けば、社会の入試問題の、特に記述問題のレベルは中学入試も高校入試もそれほど変わらないので…。

 

閑話休題。内容は特に難しくありません。
授業で習った知識をきちんと短文にまとめられるか、というだけの問題です。
特に「思考力」が問われる、というほどでもありませんね。
でも、結構×にされる答案が多いんです。たとえば、こんな感じの答案だと、×になります。

  •  
  • 日本の国土は南北につらなっていて、細長くて、川が短く、流れが急である。

 

もちろん、実際の答案ではありません。ありがちな答案の文を想定して作ってみました。「日本の国土が南北につらなっている」、「日本の国土は細長い」、「日本の川は長さが短い」、「日本の川は流れが急だ」。書いてあることは、一つひとつを取り出せば、特に間違ってはいません。
でも、一つひとつは正しくても、それを筋道をつけてつなげて、日本の国土と河川の関係を説明した文章にできていないわけです。
資料も有効に使われていませんね。自分がおぼえていることを、とにかくつなげて書いてあるだけです。
これでは問題に対する解答にはなりません。

 

では、どのような解答にすべきでしょうか? 

 

資料3は、縦軸が「高さ(m)」とありますから、河川の水源の標高ですね。
横軸は、「河口からの距離(km)」。
水源の標高については、ナイル川の水源は他の河川に比べると低くなっていますが、コロラド川では日本の河川と変わりませんね。
だから、この資料から読み取れる、日本の河川の顕著な特徴は、

 

日本の河川は水源から河口までの距離が短いために、傾き(流れ)が急だ。

 

ということでしょう。

 

次に資料1です。茶色の部分が標高の高いところ、緑色の部分が標高の低いところを表しています。
つまり、日本の国土は、細長い上に、中央部が高くなっている=山地だ、ということを示した地図です。
このことは特に問題文中に説明されてませんから、この知識は皆持っていることが前提になっているのでしょう。

 

ですから、資料3からわかることとと、資料1からわかることを因果関係でつなぐと、

 

日本の国土は細長く、中央部に山地がある。

          

↓(だから)

 

日本の河川は水源から河口までの距離が短くなる。

 

↓(だから)

 

河川の傾き(流れ)が急になる。

 

という流れになります。問題は会話文中の空欄を埋める形式ですから、これに合わせてまとめると、

 

(日本は) 国土が細長くて、真ん中に山地があるから、日本の河川は河口から水源までの距離が短くて、流れが急だということが (読み取れる。)

 

くらいの文にできれば良いことになります。学校の採点基準では、「日本の国土が山がちであること」と「川が短く、流れが急である」ということを結び付けて解答できていれば〇をもらえたようです。

 

 

まずは自分の持っている知識を短い文にする。

次に、それを筋道立ててつなげて、どのように文章を組み立てるか。

これは作文の力ですね。

 

上達するにはどうすればいいか? 

前回「人に読ませる文章を書いている」ということを意識してほしい、と書きましたが、これが一番重要ではないかと思います。
読みにくい文章は、読み手のことを考えずに、ひたすら筆者の知識や考えをつなげたものであることが多いのです。
読んでいるはずの相手が想定されていないわけ。
自分の文章を読んでくれる相手を考えて、相手に理解させようとするからこそ、文と文とをどのようにつなげるか、という意識も出てきます。

 

では、「読んでいる相手を想定した文章」を書くにはどうすれば良いか? 
ここでも使っていますが、想像上の相手に質問させて、それに答えるように書くのが良いと思います。
表面的には表れていなくても、読んでいる相手との応答を想定しつつ文章を組み立てて行く。
 

例えば上の問題の解答だと、まず「日本の国土は細長く、中央部に山地があるよ。」と自分が言う。
それに対して、相手が「それで?」と返す。
そこで私が「河川は山から海まで流れるから、日本の河川は短くなるよね。」と返す、という具合。

 

もし中高生で、記述問題や作文が苦手、という人が読んでいたら、「相手との応答」を想定して文章を組み立ててみてください。この方法はかなり有効ですよ。

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