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塾長blog更新『近畿の高校入試』国語その3 けっこう難しい部分がある問題文

塾長blog更新『近畿の高校入試』国語その3 けっこう難しい部分がある問題文

2020/08/04

『近畿の高校入試』国語の要約の例。今回は10番(p. 48~52)です。関西大学高等部(関大一高ではない方)の問題。問題文には中学生に読ませるには難しすぎると思える部分があって、そこを自力で要約するのは困難でしょうから、少し説明を加えておきます。もっとも、設問を解く上で問題は無いのですが…。まぁ、問題文をしっかりと理解するために、ということで。

 

まずは形式段落ごとの要旨まとめ。

  1.  今進行しているデジタル化は、グーテンベルクによる活版印刷術以来の「情報革命」だという。
  2.  そこで、「デジタル革命とは何か。それは本に何をもたらすか」という本質論を議論すべきだ。
  3.  情報革命を評価する場合には、得たものと失ったものの両方を見極める必要がある。
  4.  活版印刷術が普及する以前の世界では、書籍は写本であり、大勢の写本家や写学生が何か月もかけて羊皮紙に書き写し、それを教会や君主が収集した。
  5.  印刷術が普及する以前、書籍の編集出版は不十分かつ比較的まれだった。
  6.  中世におけるコミュニケーション手段は、もっぱら朗読とその聴取にあった。説教師の説教は大衆の感動を引きおこしたが、その場で消え失せ、精神文化への遺産を、ほとんど残していない。
  7.  活版印刷は、書写本を教会や王侯から市民に開放し、文学や思想、哲学などの書物を、神学や芸術のくびきから解き放った。一言でいえば、活版印刷は、書物から「聖性」を剥ぎ取り、「物質性」に置き換えた。その技術は、国民言語の形成を促し、宗教改革に弾みをつけ、巡回説教師の演説や君主の雄弁術を廃れさせた。代わって、黙読する新考知識階級と、文字を読めない大衆との分裂をもたらした。印刷術は、教会や王侯による「知の寡占」を破ったが、市民社会のなかに知の断裂を生み出したのだ。
  8.  書物の「物質性」への移行を物語る制度変更。活版印刷で大量に書籍を頒布できるようになったことで、権力による予防的な「検閲」が行われるようになった。権力は刊行の時点で、内容にまで立ち入ろうとする。
  9.  ではその後、現在まで「グーテンベルク後」は続いているのか。
  10.  そうではない。デジタル情報革命と、約百年前の「アナログ情報革命」を比較する。「アナログ情報革命」が起きた一八八七年から一九〇六年までの「奇跡の二〇年」の間に、アナログレコード、フィルムカメラ、映画、無線電信、写真電送ラジオ放送などが登場した。では、「アナログ情報革命」で何が生れ、何を失ったのか。
  11.  「アナログ革命」によって、写真と映画、レコードなどの形で、イメージや音を複製できるようになった。ヴァルター・ベンヤミンは、これらの複製技術によって、オリジナル作品がもつ〈いま‐ここ〉という一回性=「アウラ」が衰退すると考えた。
  12.  真正な芸術作品の比類ない価値は「儀式」に基づいていたが、複製技術は、芸術を儀式から解放し、政治を土台に据えた。芸術作品の礼拝価値は衰え、展示価値に絶対的な重みが置かれる。ベンヤミンは、複製技術がいかに人間の統覚と反応を変えたのかを説明し、ファシズムによって複製技術が戦争に動員される事態までを見通していた。
  13.  「デジタル革命」は何をもたらすか。デジタル化は、本の「物質性」の消滅をもたらす。それは、積極的には「物質性」の制約や束縛からの解放であり、消極的には知識の情報化・断片化である。書物は単体ではなくなり、組み換えが可能な情報のモジュールとなり、通信技術のb(高度化)・低廉化と相俟って、「いつでも、どこでも」入手可能なものとなった。電子書籍では、保管する空間が要らず、検索機能の強化に伴って、必要な情報を必要な書籍から探し出すことができるようになった。
  14.  他方、デジタル化は、だれもが情報を送受信できる社会を生み出した。しかし、情報革命においては必ず、便利さと引き換えに失われるものがある。第一には、出版社や取次といった文化装置への影響だ。
  15.  この場合、費用や効用にとらわれて、従来の(出版社や取次などの)文化装置が培い、伝承してきた「知の基盤」を見損なってはいけない。編集や校閲もされない個人の電子出版が大量に出回れば、高質の出版が「デジタルの海」に沈むだろう。出版社や著者たちは、「紙の本」が果たしてきた文化装置を、ネット上に構築できるかどうか、議論すべきだ。とりわけ、子どもをデジタル環境に住まわせる電子教科書の功罪については、導入前に議論を尽くすべきだろう。デジタル化は、本ばかりではなく、人間そのものを変容させる力をもっている。
  16.  「書籍」に対する「紙派」と「電子派」は鋭く対立している。紙がデジタルの奔流に押し流される前に、原点に返って自分の中の「紙派」と「電子派」の議論を白熱化させることが、本の将来を考える第一歩だ。

結構情報量の多い文章ですね。でも、「デジタル化」に関する筆者の主張、という面から全体の要旨をまとめると、こんな感じでしょうか。

 

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https://ameblo.jp/tmc-ikeda/entry-12614280877.html

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