塾長blog更新『6年生実力テスト近年の国語の傾向』
2020/08/31
第2回実力テストまで、あと1ヶ月半ほどです。まだまだ暑い日がつづきますが、あとひと踏ん張り、がんばりましょう。
さて、近年の国語の問題の特徴について。以前知識問題に教科書からの出題が増えていることを書きましたが、読解問題でも少し変化が見られます。もっとも、出題傾向が変わってきているというのではなくて、論理的文章(説明文・論説文)で使われる文章が難しくなってきているのです。もう少し詳しく書くと、
- 文章だけでなく、図や表が多用される文章が使われるようになった。
- 文章も、小学生には難しい言葉や概念が使われている文章が使われるようになった。
の2点が挙げられます。
図や表を使った文章が使われるのは、「新しい学力観」にも関連するのでしょうか。私学だと、『「新しい学力観」による問題』ということで、図や表をもとに作文をさせるようなところもありますね。ただし、実力テストは私学のそんな傾向とは違って、出題自体はオーソドックスな読解問題です。図や表を確認しながら文章を読まなければ十分理解できない文章なので、落ち着いて丁寧に読んでいかないといけない、ということです。
難しい言葉や概念というのは、たとえば、2019年度の第2回実力テストから拾ってみましょう。
- 私たちは自文化である日常の様々な場面において、異文化の現場を生きている。
- このような日々の異文化実践の積み重ねこそが、海外でのコミュニケーションという、広く一般的に、異文化コミュニケーションとして理解されている自己と他者との関係性に、より柔軟で批判的な視点を与えてくれるのだろう。
「自己と他者」とか「異文化」とかは高校入試では定番になっていますが、中学入試ではまだ珍しいのではないでしょうか。実力テストで使われる文章のレベルは近年、ぐんぐん上がってきているわけです。もちろん、文章全体がずっとこの調子ではないので、丁寧に文脈をたどることができれば、理解もできるのですが、日々の授業とか、読書で小学生が普段接しているであろう文章との差が大きいでしょうから、生徒にはやはり厳しいはずです。
高校生用なら、このような評論に対応した参考書なども豊富なのですが、小学生向けというのは見かけませんね。問題集とか入試問題にもピッタリなものは少ないでしょう。このレベルの文章に触れる機会を増やしていくとともに、少し難しめの文章を、要旨をまとめながら丁寧に読んでいくトレーニングをしていくしかないでしょうね。